あなたの魅力を引き出す、お江戸知っトク!?
江戸時代には、今を素敵にしてくれるヒントがいっぱい! 歴史物というだけで、ついつい敬遠してしまう貴女のために、江戸の知恵や文化をわかりやすくご紹介します。読むだけであなたをさらに魅力的にしてくれるかも!?
第3回 江戸の恋は振袖から始まる? 偶然を必然に演出する心理テクニック。 
 ちょっと気になる人との出会い。これは単なる偶然? それとも必然? といった、歌にあるような悩みはどなたにも覚えがあるはず。今回は、そんな曖昧な関係を、“これはもしかして運命では!?” と相手に思わせることができるかも!?という心理テクニックを紹介。

 江戸時代、武士は家を存続させなくてはいけないため、結婚に関しては親が決めることがほとんどでした。
 一方、町人は縛られるものがないため、わりと自由。そんな江戸娘の出会いのきっかけは振袖。成人式などで着る袂の長いこの袖、実はカレシ募集中の合図ともなるもので、そこにラブレターを投げ込んでもらうためだったとのこと。一見積極的なたくらみに感じますが、入れられるのを待っていると考えると意外と受け身。

 ある江戸娘が一人の男性を両国橋の上で見初めたとしましょう。かつて両国は浅草に並ぶ歓楽街であったため、橋は1日に2万人以上の人であふれていたといいますから、そんな出会いもあったかもしれません。ところが、そのお目当てのカレ、何度も出会っているのに振袖の中に手紙を入れてくれません。そこで考えた彼女、それまでは週に一度会う程度だったのをカレが橋を渡る時間に合わせて、毎日会うようにしてみました。

 この手法、接触する回数が増えると好感を持つようになるという「単純接触効果」といわれる心理テクニック。何回も偶然が続くと、これって運命なのかな?と勝手に錯覚してしまうというもの。たとえば、エレベーターなどでしょっちゅう会ううちに、何となく意識してしまう感じと似ています。ただし、この手法、その気のない相手に使うと逆に思いっきり嫌われますのでご注意を。

 さて、その後はというと……。
 何日間かそんなことを繰り返していた江戸娘、用もない相手からの手紙が入っているばかりで、カレからは届かずじまい。さすがに、毎日振袖を着て歩くのも恥ずかしくなって、縁がなかったものと諦めかけていたとき。ふと気づくと一通の手紙が振袖に入っていました。それは、待ち続けたカレからのもので、そこにはこう書かれていました。

「あなたを誰にも取られたくないので、振袖はもう着ないでください」。

 ……お後がよろしいようで。

 現代に通じる江戸時代の知恵や文化などを紹介しているBS-TBS「謎解き!江戸のススメ」(毎週月曜日よる10:00~10:54放送)。新年1月6日の放送では、 そんな色恋もあったかもしれない江戸の2大歓楽街の両国と浅草を“ぶらり”する新春スペシャル。お江戸ル・ほーりーこと堀口茉純さんも出演しますので、ぜひこちらもチェックしてみてください。

 そして最後になりますが、皆様にとって新しい年が素敵な出会いのある一年でありますよう、お祈り申し上げます。

参考「ほーりーのだいたい3分でわかる 江戸あれやこれや」
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